今回は、日常生活でであった、見えない「普通」のお話。
私と同じことで困っている人に、私のような人を理解したいと思う人に、届いたら嬉しいと私は思う。
普通味のラーメン
文章のほうが得意な人のために、文字でも説明すると……
先日、夫と二人でラーメン屋さんに行った。
ラーメン屋さんは、味をカスタマイズできるタイプのお店で、店員さんは私に食券を見せながら
「味つけ、どうされます?」
と、聞いてきた。
騒がしい店内。私は軽いパニックになりつつ、(味はすべて、食券の中の選択肢から速やかに選ばなければならない)と考え、頭をフル回転させて
「麺は柔らかめ
味は濃いめ
油は少なめ でお願いします」
と、注文した。
それなのに夫は
「すべて普通でお願いします」
さらりと言った。
その時の私の驚きと言ったら、ない。
「……普通?そんなの選択肢になくない?」
どうやら食券には書かれていない(省略された)「普通」という選択肢も存在していて、彼はそれを選んだらしいのだ。
私は目に見えないものを察するのが苦手だ。
社会には目に見えない「普通」が多数存在している。
たくさんの人に支えられながら、今日も私は見えない「普通」をひとつずつ学んでいく。
見えない「普通」
今回、私は「カスタマイズ系のラーメン屋さんでは、食券に書かれていなくとも『普通』という選択肢がある」という事を学んだ。
より詳しく解説すると、ラーメン屋さんでよく登場する選択肢「柔・普通・硬」「薄・普通・濃」「少・普通・多」と、このラーメン屋さんの食券がつながった。何を言っているかわからないかもしれない。でも、私と同じ星の人は、きっと分かってくれると思う。
ASD者の私にとって、こうした些細なびっくりエピソードはしばしば起こる。
私の場合、絵や文章だと(ASD者のわりには)「普通」を理解することができるのだが、自分が登場人物として関わってしまうと、とたんに「わからなく」なってしまう。
一度気づけば「なんでそんなこともわからなかったんだろう……」と、自分でも不思議に思うのだが、それに「気がつく」までは、本当にわからないのだ。
今回は幸いにも笑い話にできる出来事だったけれど、人間関係・仕事関係だと、大きなトラブルになりかねない。
最近は何か行動を取る前に、信頼できる人に「こういう風に行動しようと思っていますが、大丈夫ですか?」と尋ねることにしている。
「どうすればいいですか?」だと、「適当で大丈夫だよ〜」系の答えが返ってきてしまう。具体的な行動を示すことが重要だ。
そうすると(あ、こいつマジわかってねーな……)と、理解してもらえるので話が早い。わかってないことが伝わると、みんな優しい。
あの、別にわざとやっているわけではなく、本当にわかってないんです。すみません……。
というわけで次回は(忘れなければ)「普通」味のラーメンに挑戦してみようと思う。さて、明日は何を書こうかな。