今回は聴覚過敏で悩んでいる人向けの、ノイズキャンセリングイヤホンの選び方の話。音楽を楽しむ視点では無いのであしからず。ノイズキャンセリングイヤホンの購入を検討している人の役に立てたら嬉しい。
私と同じことで困っている人に、私のような人を理解したいと思う人に、届いたら嬉しいと私は思う。
ノイズキャンセリング機能って?
まずはじめに、「ノイズキャンセリング機能」について簡単に説明したい。
「ノイズキャンセリング」と聞くと、「なんかノイズが聞こえなくなって、すっごい静かになる」と想像しがちだけれど(実際私もそう思っていた)、そんなことはない。
モーター音だったり、ガヤガヤ音はかなり低減されるけれど、そのかわり独特の「サーッ」という音が聞こえたりするし、突発的な音や、近くの人の声にはさほど効果がない。
それはノイズキャンセリングのしくみに理由がある。
ノイズキャンセリング機能をONにすると、イヤホンは外の音(ノイズ)をマイクで集めて分析、反対の波を持つ音を発生させることでノイズを低減してくれる。10には-10をして、-5には5を足して……音の波を相殺しましょう、なるべく0を目指しましょう、みたいな。
「人が不快に感じやすい音をデジタル処理することで、なるべく低減してあなたの耳にお届けしますよ」というのがノイズキャンセリング機能である。で、この時に耳に届くのが「サーッ」という音。
このようにノイズキャンセリング機能は集音・分析・打消の処理が入るので、一定時間続く音(例えば雑踏とかモーター音とか)には強いけれど、人の声などの突発的な音には対応できない。
逆に言えば、ノイズは小さくなるけれど、近くの人の声・聞こえる必要のある音(アラーム)などは、ちゃんと聞こえるということ。聴覚過敏を持つ私にとって、これは大きなメリットとなる。
ノイズキャンセリング機能について詳しく知りたい方はSONYの説明ページを参照してほしい。
ノイズキャンセリングヘッドホンとは?
https://www.sony.jp/headphone/select/popup_noise_cancel.html
選び方0:自分のニーズを把握する
購買行為に移る前にちょっと立ち止まり、(無理のない範囲で)自分が何に困っているのか、何が必要なのかを整理してみよう。
別に必須じゃないけれど、買う前に悩みやニーズをカタチにしておくと、選ぶ時の負担が減る。
例えば、「なんか、つらい・苦しい」を
「スーパーの冷蔵庫の音が苦手」「ガヤガヤが嫌」「レストランで人の声が聞き取りづらい」「飛行機・新幹線・電車が苦痛」とか
「通勤中に苦手な音を減らしつつ、音楽を聞いて負担を減らしたい」「人の声・アナウンスは聞き取りたいけど、ガヤガヤ音は減らしたい」
てな感じで具体的にすると、後が楽になるし、アドバイスも受けやすくなる。店員さんいわく「メーカーによって得意なノイズが異なる」らしいし、音楽を聞く必要がなければデジタル耳栓も選択肢に入るだろう。
自分一人では難しい時、家族や支援者の人に手伝ってもらうのも有効だ。
選び方1:実際に試してから買う
ノイズキャンセリングイヤホンを購入する際、可能であれば、売り場で試着して(できれば店員さんに相談して)購入して欲しい。
聴覚過敏があるのに出かけるなんて辛い、というのはよくわかる。とってもわかる。
でも、ノイズキャンセリングイヤホンは今の私にとって、眼鏡の様なもの。これがないと生活に支障が出る。それくらい大切なアイテムだ。
在宅時に壊れたらすぐさまネット通販で注文するだろうし、外出中であればその足で家電量販店に行く。
自分に合ったものを選べれば日常生活の質をググッと上げることのできる製品なので、なるべく後悔のないように選んでもらいたい。
ノイキャンイヤホン特有の「サーッ」という音がどういうものなのか把握することは大切だと思うし、結構お値段するし。あ、でも無理はしないでね。うん。
選び方2:店員さんには具体的に相談する
オーディオ売り場にいる店員さんは、ノイズキャンセリングイヤホンを選んでいる私達を「雑音のない環境で音楽を聴きたいお客様」だと思って接客してくる。
けれど、私達が求めるのは「静かな環境」だったり、「人の声を聞き取りやすくすること」だったりする。このままだと、すれ違いは必至。最悪アンジャッシュのコントのようになりかねない。
相談する際は「聴覚過敏だから、とにかく静かにしてくれるのが良い」とか、「稼働時間が長いのが良い」とか「雑踏に強いのが良い」とか、自分が求めるモノをはっきりと伝えるようにしよう。言葉で伝えるのが不安だったら、メモか何かを持参すると良いと思う。誰かについてきてもらうのも、もちろんOK。
でもって、ゆっくり選んで良い。私だって1時間以上売り場で悩みまくった。もっとだったかもしれない。っていうか、人も多いし騒がしいし2回くらい帰りかけた。でも「セールは今日まで」という言葉に影響されて、ひぃひぃ言いながら購入した。
買いに行ったその日、買えなくても良い。たくさんの中から、ひとつだけ選ぶのは誰にだって難しい。
そんなわけで、買うぞ!って思って、この記事を読んだり、計画を立てたり……と、行動できている自分をとりあえず褒めてあげて欲しい。
大丈夫。あなたはちゃんと行動できてる。
ちょうど話も逸れたので、選び方の話は終わり。参考までに、私が選ぶまでの経緯を記録した。興味がある方はどーぞ。
私が実際に使っている機種と迷った機種
実際に私が選んだ機種と迷った機種はこちら。
選んだ機種
WI-SP600N ホワイト(コードタイプ)
迷った機種
WI-1000X(首掛けタイプ)
WF-SP700N(耳だけタイプ)
型番だと分かりづらいので、以下◯◯タイプで表現したいと思う。
ノイキャン機能の強さ:首掛け>コード>耳だけ
稼働時間:首掛け(10時間)>コード(6時間)>耳だけ(3時間)
値段:首掛け>耳だけ>コード
まずはじめに、耳だけタイプを候補から外した。稼働時間も短かったし、ADHDも併発している私は絶対になくしてしまうと思ったから。(誤解のないように記しておくが、耳だけタイプはケースが充電器になっているので、通勤通学での利用が主なら問題のない稼働時間である)
で、残るは「首掛けタイプ」か「コードタイプ」なんだけれど、どちらにもメリット・デメリットがあって決められずにいた。
「聴覚に過敏さがあって、音への負担軽減が目的なので、音質とかは重視していない」
と伝えた上で、
「ノイズキャンセリング機能の強さや稼働時間の点でいうと首掛けタイプの方が良いなぁ、でも鞄にしまったりする時に邪魔になりそうだなぁ……。うーん、持ち運びでいうとコードタイプがいいけれど、ちょっと機能が弱いように感じる。コードタイプがもっと静かになればいいのに……」
的なことを店員さんにボヤいていたら「であれば、コードタイプを選んでイヤーチップを変更するのはどうですか?」と提案してくれた。
イヤーチップというのはイヤホンの耳と接触する部分、イヤホンを買うとSMLの3種類くらいついてきて、いつの間にか外れて行方不明になってしまうアレのことである。アレを変更することで、より防音性が高まるらしい。
イヤーチップを耳栓ぽい材質のものに変更することで、外音の取り込みそのものを減らす作戦。ノイズキャンセル機能の向上とは少し違うけれど、静かになるならいいかなってことで、試着(コードタイプ+イヤーチップ)させてもらったところ、なかなかいい感じだったのでセットで購入することにした。
形や大きさが複数あったので、イヤーチップも試着をおすすめしたい。「試着できますか?」と、店員さんに相談すると良いと思う。(少なくともヨドバシアキバではできた。メーカーの人ではなくヨドバシの社員さんに声をかけると良いかも)
というわけで、私が購入したのは
WI-SP600N(ホワイト)+ COMPLY コンプライT200BLK-M/3P
SONYの現行タイプでいうと、
・短時間だけ利用したい人、あんまりモノをなくさない人→耳だけタイプ
・長時間利用したい人、ノイズキャンセリング機能を重視する人→首掛けタイプ
・それなりの時間使いたい人、それなりのノイズキャンセリング(略→コードタイプ
がいいのかなぁ、と思う。
音楽を聞く必要がない人はデジタル耳栓も良いと思う。
割とお金がかかったし、イヤーチップは消耗品なのでこの先もお金がかかってしまうけれど、おかげさまで快適な日常生活(+音楽生活)を過ごせている。買ってよかった。
外出できる時間が増えたり、家族と過ごせる時間が増えるのはとっても嬉しい。これを読んでいるあなたも、自分にあったイヤホンに出会えますように。
さて、明日は何を書こうかな。